keiichi

/ 2019.01.06 Sun /

初詣のおみくじは吉でした / BEST of 2018

新年あけましておめでとうございます。

というわけで、年末は大掃除にかまけていたせいで更新できませんでしたが、2018年のパーソナル・ベストを勝手に発表したいと思います。
自分の好きなポップミュージックからはじめると、インターネットの良いところといえば、なんと言っても新しいものにインスタントにアクセスできるところ。
もしかしたら、インターネットがなければ今頃は、若い頃に聴いたものを時々聴いて老いさらばえつつある自分を慰めるだけニンゲンに成り下がっていたかもしれません。
そう考えると背筋に寒いものが走らないこともないですが、ともかく、毎日のようにバンバン新しくて刺激的な音楽に出会える今の便利さは、今後もどんどん享受してゆきたいと思います。

次に映画ですが、記録用に使っているフィルマークスを立ち上げてヌルヌルと履歴をたどると、1)思ったより劇場で観てなかったこと 2)今年公開の映画をそれほど観ていなかったこと、の2点が明らかになりました。
そういうわけで、数少ないストックの中からベスト3本に絞ってみましたが、絞るもなにも、今年日本で公開された映画という点に限ると、この3つしか心に残っていないという感じです。
今年は去年よりも、音楽にも映画にも、もっとたくさんアクセスしたいと思います。

——音楽部門——

10. Psycho (feat. Ty Dolla $ign) / Post Malone
センチメンタルなトラックに、歌ともラップともつかない言葉が、いくらすすっても途切れないうどんのようにツルリツルリと乗っかってきて、ツボを押されまくってしまいました。

09. GREAT / Idles
なんの変哲もない、古臭いと言えば身も蓋もないただの「パンクロック」ですが、ポスト・マローンと同じく、今この瞬間に命をボーボーと燃やしている煙が立ち込めていて泣けてきます。

08. 65th & Ingleside / Chance the Rapper
神々しいまでにビタースウィート。耽溺するだけのノスタルジーなんて最低ですが、心が清らかになるような、眼差しが上を向いたノスタルジーというものはいつだって心を打つものです。

07. A Place / Nils Frahm
アルバムを通して最も聴いた彼の飾りのない音楽は、人類みな兄弟という安直な言葉を超えて、人と人はやはりどこか奥の奥の方できちんと繋がっているのだ、という気分にさせてくれます。

06. Jack in Titanic / Bodega
LCD SOUNDSYSTEMからのバトンをしっかり受け取って、さらに更新しようとし、そして少しだけれどもしっかり更新している彼らのことはこれからもしっかりフォローしていきたいです。

05. 🙁 / The Garden
いつぞやのブログで「今年のベストソング!」などと鼻息荒くしていたくせに、結局通して振り返ってみるとこんなもんですが、この曲のおかげでかなり元気もらいました。

04. Boyfriend (Rrepeat) / Confidence Man
マンチェスターのアレコレに、トム・トム・クラブやレ・ティグラなんかが渾然一体となって鳴っていて、このグルーヴに身を委ねていれば大抵のことは乗り越えられそうな気がしてきてしまう不思議。

03. Sports / Viagra Boys
バイアグラ・ボーイズ、というバンド名だけでもう最高だということがわかります。そしてこのルックス。腹もぶよぶよ。泣けてきます。みっともなくて、じゃなくて、あまりに輝いていて。おっさんが「スポーツ!」と、がなるだけの歌に、こんなにもエキサイトする日が来るなんて、思いもよりませんでした。でもこれを1位だ、と言ったら自分の中の何かが終わってしまうような気がして、3位です。でもやっぱり最高です。

02. Stop Him / Honey Hahs
今しか鳴らせない音を鳴らすという点でいえば、彼女たちに勝るバンドはいなかった2018年。こんな風に、少女たちにトランプのことを歌わせてしまう、というこの時代に暗澹たる気持ちがすると同時に、そこに感動できてしまうこの時代に生きていることがエキサイティングでもあり、なんとも複雑な思い。The ClashのDNAがまさかこんな風に引き継がれるとは思わなんだ。ジョー・ストラマーよ、安らかに眠れ。

01. SPRORGNSM / Superorganism
ライブ映像をYouTubeで見ると、見事なまでにナードとおっさんで溢れかえっていて、分かってはいたけど、おっさんな僕はそれで少し滅入ったりもしたものですが、2018年、こんなにも希望を鳴らしていたバンドは他にいなかったのではないでしょうか。手垢にまみれて、力を失いつつある「希望」という言葉を取り戻す可能性に満ち溢れているようで、心が激しくムーヴします。たくさんの若い人たち(特に女子)がこのバンドに夢中になる日が来ることを、あり得ないとはわかっていても、願いたくなってしまう気持ちがコップから溢れて止まりません。

——映画部門——

03. アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

この、異様な安らかさに満ちたバッドなエンディング。ともすれば自然と肩入れしかねないヒールの大ボス。DCがクリストファー・ノーラン以降を見つけられずもたもたしている間に、マーベルはこんなところまで来てしまいました。鑑賞後、呆然として街をフラフラ歩いていたのを覚えています。

02. 15時17分、パリ行き

クリント・イーストウッドの最大の美点は、人々を決して上から眺めて描かないところ、つまり、視点が同じ「低い場所」にずっとあるところだと思います。超スターなのに。超スターなのにフォードのボロ車に乗り続けているところも燃えます。そして、基本的に何も起こらない、という地味な映画なのに、観たあとにクラクラさせてしまう熱を帯びた映画に仕上げてしまうという、「天は二物を与えず」なんてのが真っ赤なウソだと証明する監督としての天才っぷり。1位か2位かで迷い続けました。

01. 君の名前で僕を呼んで

鼻血が出すぎて困ります。恋模様にキュンキュンときめいちゃって、というわけでは勿論なくて、むしろ正直お話はどうでもいいというか。
目の前に立ち現れる画の中にある官能性、美しさ、役者の佇まい、言葉にされない言葉と言葉にされる言葉とのコントラスト、ただの添え物に成り下がらず、かといって出しゃばらないシンプルな音楽、そういったものをただ受け止めているだけで自然と鼻血ブー。こういう映画を一本作れたら、もう何も欲しくないのではないでしょうか。魔法とか奇跡とか、そういう陳腐な言葉でなにかを褒め称えることに生理的な嫌悪感があるぼくのような者も、つい「奇跡のような…」とか口をすべらせてしまいそうな、そしてすべらせてしまっても何の後悔もないような、そんなハラショーな映画です。